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食べる 描く 読む 女

よく食べ、よく描き、ほどほどに読み、たっぷり眠る動物好きなOLの日記

読んだ本

幼年期の終り ハヤカワ文庫 SF (341)

幼年期の終り ハヤカワ文庫 SF (341)

読み終えてどっと疲れてしまった。それくらい、壮大で途方も無い話だった。
宇宙人(地球外生物と呼ぶべきなのか)がある日突然現れて、地球を管理し始めるいう話。三部構成になっていて、1部なんかはわかりやすくて、最後はちょっといいなと思うくらいの余裕があったのだけど、3部になるととうに自分の想像の範疇を超えて呆然としてしまった。
冒頭の宇宙船が進出してきたとき、「人類はもはや孤独ではないのだ。」の一文が個人的に引っかかっている。クラークは何をして人類を孤独とみなしたのだろうと。私たちは、人間のような生き物を人間以外で知らないから?それとも「孤独」を理解してくれる対象(宇宙人)を得たから? …多分この本に関して考えることはここではないのだけど。
でも最後にヒントらしい一文が。
ただ個人だけが孤独になりうるのだーーただ人間だけが。個人という最後の垣がとりはらわれてしまえば、孤独は個性の消滅とともに消えていくだろう。無数の雨滴が大海に呑みこまれるように。
クラークは、「あんたらの想像を超えてるんだよ、宇宙ってものは。」と笑っているような気がした。だから孤独なんてものは、宇宙に対しては無に等しいんだと。

でも小説を書くっていう行為そのものが「孤独」を積み重ねた上に完成するものだとしたら、孤独は宇宙に等しいくらい未知で、深淵なものなのではないかと思った。あまりに人間中心主義な考え方ではあるけれど、たくさんの読者に強烈なインパクトを残したクラークの孤独が残した本書に、少し涙が出た。