食べる 描く 読む 女

よく食べ、よく描き、ほどほどに読み、たっぷり眠る動物好きなOLの日記

読んだ本

今日はずっと本を読んでいた。年明け早々、すばらしい本と出会えた。

 

歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)

歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)

 

 知り合いからすすめられて読んだのだけど、なぜもっと早く読まなかったのだろう!と思うくらい好きな内容だった。短編集で、読み終えるのが惜しいくらい。

日頃自分がふと感じたこと、でもすぐに忘れてしまうようなことを、ぴったりの言葉で表現してくれるような話が好きなのだけど、まさにそんな物語ばかりが収録されている。

ぼくらは別れのとき、鍵を必ず取り戻すものだ。あるいはいっそ、別の錠に取り替えてしまう。でも、ときどき考える。ぼくはどこかに鍵を置き忘れたままなんじゃないかって。 

 なんてことのない一文が、すごくドキッとする。

また台湾に行きたい。この作品の舞台となった中華商場はもうないそうだけど、台湾に行ったら、この小説に出てくる一瞬に出会うことができるかもしれないと思う。

 

なんてことのない一文と言えば、原田宗典の『十九、二十』で好きな文章がある。お互い付き合う前の主人公と(元)彼女が、証明写真で一緒に写真を撮ろうとする場面。

その瞬間ぼくらはおそらく同じ感情を抱いていたと思う。例えばデパートの家具売場で柔らかそうなソファを目にした時に、店員の目を避けてつい座ってみたくなる好奇心。あるいは猫の腹を撫でていると、ふと指先に力を籠めてみたくなるような、残酷な優しさが、ぼくらの間に漂った。

お互いまだ付き合っていないけれど、でもお互いのことを嫌いじゃない(むしろ好き)というのを、お互いわかってる・・・ってこんな感じなんだろうなぁと。読んだ瞬間、胸がぎゅーっとなって、ジタバタしたくなった。すごい、本当に上手い言葉だなーと思う。気になるかたはぜひ。

 

十九、二十(はたち) (新潮文庫)

十九、二十(はたち) (新潮文庫)