食べる 描く 読む 女

よく食べ、よく描き、ほどほどに読み、たっぷり眠る動物好きなOLの日記

読んだ本

ここ最近読んだ本。

夏服を着た女たち (講談社文庫)

夏服を着た女たち (講談社文庫)

「この本を面白いと思うことができるのは、特別なことなんじゃないか」と思わせる雰囲気がある。表題作は女の私としては、とても複雑な気持ちにさせられたけど。男性のある性質(?)には、どんなに魅力的な女性であっても太刀打ちできないのかしら。
収録作の「街の喧噪」は、多くの人が願うであろう「私たちの生活がおだやかで、なにも起きないように」ということを感じて少し泣いた。

不思議の国のトムキンス[復刻版]

不思議の国のトムキンス[復刻版]

表紙の雰囲気に惹かれて読んだけど、難しかった。息も絶え絶えに読み終えた。

美しい小説だった。映画にしろ、本にしろ、人は夜に惹かれてしまう生き物なのかもしれない。年の離れた男女の他愛のない会話、眠りについた街の中でかわされる囁きや、愛を、少し覗くような気持ちで読み進めた。アンデルセンの『絵のない絵本』に似ている。

夏の闇 (新潮文庫)

夏の闇 (新潮文庫)

爽やかさから一転、ねっとりとした話が読みたくなって。いやらしさと倦怠感が、とても良かった。いつまでも足を突っ込んでいたくなるような、気だるさ。男性が求める、いやらしい気だるさに付き合える女になりたいと高校時代は願ってはいたけれど、そんな生活を続けていても、女の片鱗(将来への約束や、永遠に続けることの努力を求めること)を見せた途端に、男があっという間にひいてしまう描写がこの本の中にあって、「男ってずるいわ」と思う。きっと奔放で、馬鹿で、でも理知的な部分もあって、そして美しい女というのが、文学における男性の理想なのかな。だとしたら、到底付き合えきれないね!

聖の青春 (角川文庫)

聖の青春 (角川文庫)

久しぶりに本を読みながらボロボロ泣いた。将棋がわからなくても、こんなに面白いなんて!
勝負の様子はとくに素晴らしくて、一手に命をかける様は、その世界を知らない私でも息が詰まりそうで、恐ろしさを感じた。緊迫感のある勝負シーンに対して、家族や師匠、友人との様子にはほっと安心する。結末は分かっていても、その深い繋がりに涙が止まらなかった。
自分の言葉を恐れず飾らず、そして自分の持つ結論に不安も疑念も抱かない強さが心地よかった。

海炭市叙景 (小学館文庫)

海炭市叙景 (小学館文庫)

毎日少しずつ、大切に読んだ。陰鬱だけど、また帰ってきたくなる、そんな雰囲気。なんでもない人たちの、なんでもないささやかな生活。『魔法の夜』のように、人びとの生活をすこし覗く。時折、風景や心理描写にはっとさせられる。お気に入りを抜粋することが難しいのは、その一文が引き連れるすべてに惹かれてしまうからだと思う。
若い人間が希望を持てない街だというのなら、それは三日前まで住んでいた、あのふくらみきった都市だ。
なぜかメモに残してた。他にもこんな文がいくつか。

沖で待つ (文春文庫)

沖で待つ (文春文庫)

この人の本を読むと、男女でもいろんな付き合い方があって良いなぁと思う。生々しい雰囲気なのに、なんだかファンタジー。仕事に疲れ切って、でもあまり家に帰りたくなくて、そんな気分のとき、無条件に逃げ込める場所があればいいのにな、と読みながら思った。