食べる 描く 読む ひと

走ったり泳いだり転んだり

良い経験させてもらいましたと言えるまでには

大切な人と別れてしまった。ここ数週間毎日、欠かさず、朝と夜泣いている。規則正しい時間に、咲いたり閉じたりする植物みたいに。

朝起きて「もうあの人に会えないのか」という事実で、涙が出る。夜寝る前に、朝と同じようなことを思って、涙。

「人間の体はほとんど水分だと言うけれど、確かにそうなんだなー」と妙に冷静な私もいて、でもそれはこれ以上傷つかないようにするための、自動モードみたいなものなのではないかと思う。

心の深いところで、なにかを交換した人だった。

なにかというのが、2人だけの秘密とか、大事なものとかそんな大それたものではなく、ただ「あなたといると楽しい」「一緒にいたい」みたいな希望。互いのなかから無理矢理引き出そうとしたり、勝手に作り上げようとしたり、奪おうとしたり、そんな一方的なものは一切なくて、ごく自然に発生したやわらかなものだった気がする。

その人といると、帰宅を促すチャイムが流れるまで公園で遊んだこととか、西日が射す友達の家でマンガを読んだり、64で遊んだ小学生の頃に戻るような、無邪気で、なにもかもバカバカしい気持ちになれるのが好きだった。

でも今は、もうない。

 

あまりにも悲しいことがあったのに、世界は淡々と進むという事実に驚かされた(当然なのだけど)。悲しすぎて、ベッドから起き上がれないなんてことがあるのかということにも。

驚きと、悲しみと、後悔と、色々な想いが寝ても醒めても襲ってきて、「みんな平気な顔して仕事したり、ご飯食べたりしてるけど、何人かの人はこんな経験しているのか」と思う。ひとつの別れがもたらすものがあまりにも多すぎて、「ちょっと、ストップ! ストップ!!」と叫びたくなる。

 

「いやー色々学びがありました。よかったです、経験して。」という余裕はとてもなくて、ただ感情の荒波に浮かぶ小舟であるほかない。

 

生きていれば色々とあるなんて言うけれど、本当そう。